阿波の農村舞台 阿波人形浄瑠璃の魅力を伝える人々

太夫部屋

  • 喜笑会

    明治20年頃、神山町の高橋璃月氏が「鬼笑会」を興し、昭和45年に「喜笑会」と改め、豊澤町子師匠を指導者とする新しい浄瑠璃部屋を開く。会員数は10名と少人数ながらも、世話物や時代物など幅広く習得している。平成25年、豊澤町子師匠は、後継者を多く育て阿波人形浄瑠璃の継承に貢献した功績が認められ、地域伝統文化功労者表彰を受賞した。
  • 喜笑会
  • 友和嘉会

    平成9年に、人間国宝鶴澤友路師匠より拝命した竹本友和嘉師匠を指導者として発足。現在、会員数は29名と徳島最大の語りの会へと成長している。会の活動は幅広く、徳島県内はもとより、淡路・大阪等の大会にも積極的に参加している。また、竹本友和嘉師匠は、平成25年には東京・国立演芸場での女流義太夫演奏会に出演した。平成26年11月には阿波十郎兵衛屋敷において第一回阿波路会公演を開催した。
  • 友和嘉会
  • 友成会

    阿波人形浄瑠璃平成座の太夫、三味線部門として平成12年3月に「友成会」を結成。全員が義太夫節三味線の人間国宝、鶴澤友路師匠に師事している。平成座の人形との共演はもちろんのこと、県内外の人形座からも依頼を受け共演している。また、徳島や淡路の素義大会などに積極的に参加し、研鑽の場としている。
  • 友成会
  • 友輔会

    平成13年、人間国宝鶴澤友路師匠より拝命した鶴澤友輔師匠を指導者として発足。鶴澤友輔師匠は、国民文化祭・とくしま2007で瀬戸内寂聴原作の新作人形浄瑠璃「義経街道娘恋鏡」「モラエス恋遍路」の作曲・演奏を、2012年の全国初2度目の国民文化祭では「阿波の心」の作曲と弾き語りを担当。県内外はもとより海外公演にも参加するなど精力的に活動し、平成13年に(財)徳島県文化協会の芸術文化奨励賞を受賞。平成18年には、徳島県から阿波文化創造賞を受賞。常に新しいことにチャレンジする友輔師匠のもと、会員一同、人の心に届く浄瑠璃を目指している。
  • 友輔会
  • 城北会

    阿波人形浄瑠璃城北座の中で太夫・三味線もともに活動していたが、平成23年4月、三味線奏者の鶴澤友丸を師匠として「城北会」を立ち上げた。同年、台湾で開催された「亜太伝統芸能節」に中村園太夫座とともに出演し、日本の伝統文化である人形浄瑠璃の魅力を広めた。毎夏開かれる阿波人形浄瑠璃伝承教室を含め、母校である徳島県立城北高校民芸部へ太夫・三味線の指導を行っており、平成16年には、城北高校民芸部創部50周年を祝う記念公演では、人間国宝・鶴澤友路師匠を招き、部員達とともに、民芸部出身である元文楽座技芸員の勘緑氏、青年座と共演した。
  • 城北会

人形座

  • 勝浦座

    江戸時代の寛政年間、当時の久国村名を付けて「国村久太夫座」として、村の若者たちによって発足。天保の飢饉で活動が中断し、明治の初めに復活したが、昭和6年、村の農村舞台の火災で座の頭・道具等を焼失して、休止状態となった。昭和21年に吉井(現・阿南市吉井町)の人形座の道具一式を買い取って復活し、現在の「勝浦座」となる。上演できる外題は28演目にもおよび、国内外での上演のほか、昭和51年から毎年、徳島市八多町にある「犬飼農村舞台」で人形浄瑠璃芝居を奉納している。
    また同座は、地元の小松島西高校勝浦校民芸部の指導を50年にわたり続けており、平成18年からは地元の小・中学生の指導を行い後継者育成にも力を入れている。
  • 勝浦座
  • 寄井座

    嘉永元年、神山町神領地区の有志たちによって「上村都太夫座」として結成。座員は男性だけであったが、昭和50年代後半に、座員が指導していた婦人会の遣い手を吸収することによって活気を取り戻した。その頃より通称の「寄井座」を名乗るようになった。多数の舞台衣装や道具類とともに、初代・天狗久の作品を中心に約60個の頭を所有しており、昭和27年に、そのうちの14個が県の有形民俗文化財に指定された。また、平成20年から神領小学校学童保育所すだち座を指導し、地元の小野さくら野舞台をはじめ県外公演にも積極的に参加するなど、伝統の継承に尽力している。
  • 寄井座
  • 中村園太夫座(岡花座)

    阿南市新野町岡花地区で江戸末期の文化2年から活動しており、地区の名前から「岡花座」と呼ばれ親しまれてきた。現存する県内の人形座の中ではで最も古いといわれている。新野町岡花と西光寺の村の氏神である八坂神社のお神輿の代わりとして始められ、岡花・西光寺地区47軒の家督相続をする長男だけが人形座に参加する資格があった。平成10年頃から他の地域の人や女性を座に迎えるようになり、現在は秋祭りや公民館・ホールなどで年間約20回の公演を行う。平成23年、拉致問題をテーマにした創作浄瑠璃「越後母恋情話」を初演。平成24年には宮城県気仙沼市へ復興支援公演を実施。岡花座の頭のうち、初代・天狗久作の6体と福山佐平作の1体が県指定の文化財になっている。
  • 中村園太夫座(岡花座)
  • 木沢芸能振興会

    明治40年ごろより本格的な人形座として発足。大正7〜8年頃が最盛期で「坂州共楽座」という名称であった。戦時中は一時下火となったが、戦後いち早く復活した。経済の高度成長に伴い過疎化が進むとともに、娯楽の多様化もあり次第に座の維持が困難となっていった。
    しかしながら、昭和49年に坂州農村舞台が県の文化財に指定された時、阿南市の一座による人形浄瑠璃の公演が行われ、村民の間に伝統文化の継承の機運が高まった。旧共楽座の有志が全村に呼びかけ昭和55年1月、「木沢芸能振興会」に名称も改め再発足した。
  • 木沢芸能振興会
  • 阿波人形浄瑠璃 城北座

    県立城北高校民芸部のOBが集まり、昭和56年に発足。平成14年には、太夫、三味線、人形の三業が揃う座となった。民芸部OBで元文楽協会技芸員、木偶舎を主宰する勘緑氏と、その師匠であった人間国宝・吉田簑助師匠に人形遣いの指導を受け、上演外題も増えた。また、文楽人形師の故大江巳之助先生の指導でかしらの制作にも着手したほか、淡路の義太夫三味線の人間国宝・鶴澤友路師匠にも指導を受けるなど、繊細で質の高い表現を目指している。
  • 阿波人形浄瑠璃  城北座
  • 鳴門市阿波人形浄瑠璃振興会 鳴門座

    昭和55年、戦後日本の文楽人形を手掛けた鳴門市出身の4代目・大江巳之助作のお弓、お鶴の頭を譲り受けたことをきっかけに、初代・小林春成座長の家族と知人6名で結成。
    地元鳴門を拠点に、小学校への出前公演をはじめ、童謡グループと人形浄瑠璃のコラボレーション(大塚国際美術館)、バルトの庭野外舞台のこけら落とし、兵庫県の西宮神社などで積極的な公演活動を行い、県内外へ阿波人形浄瑠璃の魅力を伝えている。
    現在、3代目となる村上京子座長の下、30代~80代の女性12名で活動している。
  • 鳴門市阿波人形浄瑠璃振興会 鳴門座
  • あわ工芸座

    昭和57年4月に「第1回阿波人形芝居伝承教室」の修了生を主体にして「伝承座」として生まれ、平成5年、前座長である後藤文子氏のもと「あわ工芸座」として活動を始めた。座で使用する木偶はすべて後藤文子氏の作品である。「世界をかける人形座」を座のキャッチフレーズにしており、ヨーロッパ、アメリカ、マカオなどの海外公演に出演。平成15年6月、チェコで開催された「第7回世界人形芸術祭」では「曽根崎心中天神森の段」「本朝廿四孝奥庭狐火の段」を披露し、最優秀デザイン賞を受賞した。今年4月から、友輔会の太夫としても活躍する後藤俊子氏が2代目座長となり、前座長から引き継いだ阿波木偶とともに、座員一同阿波人形浄瑠璃の伝統と魅力を全国、そして海外へと発信し続けている。
  • あわ工芸座
  • 名月座

    平成5年、せめて阿波鳴だけでも身につけてボランティアを始めたい、満月のように丸い心で人間的繋がりを大切にしたいと女性6名で結成。結成された9月にちなみ「名月座」と名付けた。積極的に施設の訪問を行うと同時に、阿波の伝統文化の継承と底辺の育成や広がりを求め、幼稚園や小学校の児童、徳島文理大学生の指導に力を注いでいる。平成20年には、親しみやすい内容で、子どもたちが無理なく3人遣いを体験できるよう、小ぶりで軽い子供用の木偶(太郎・花子)を製作。体験を通して3人が力を合わせて一つのことを達成することの楽しさを学んでほしいと願い、継続的に体験活動を実施している。平成24年から、おめでたい演目「恵比須舞」の上演を始め、イベントや慶事等の席で福を届けている。
  • 名月座
  • ふれあい座

    平成5年、「松茂町歴史民俗資料館・人形浄瑠璃芝居資料館」開館と同時に人形浄瑠璃芝居用の舞台が併設されたのを機に、町内婦人会の有志で結成。公募によって選考した「ふれあい座」という座名は、人形遣い・太夫・三味線という演ずる者の心がふれあい、演ずる者と観客との心がふれあい、素晴らしい演劇空間を作り上げようという気持ちが込められている。現在では、男性座員3名が加わり、拠点とする松茂町歴史民俗資料館での定期公演(毎月第3土曜日)をはじめ、地元の小学校で公演・人形体験・太夫体験を実施している。平成21年「第24回国民文化祭・しずおか2009」、平成23年「第26回国民文化祭・京都2011」に徳島県代表として出演。平成25年10月には、スイスで開催された「JAPANWEEK」に参加し、日本の文化の紹介・交流を深めた。
  • ふれあい座
  • 阿波人形浄瑠璃 平成座

    徳島市川内町を拠点に、大夫・三味線・人形の三業が揃った座として平成元年に結成し、元号の改正に合わせ「平成座」と命名した。県内外で年間100回の公演をこなすほか、平成8年と10年に、「傾城阿波の鳴門全国大会」を主催。平成12・18・23年には、北海道倶知安町で3回にわたる北海道公演を実施。平成19年の国民文化祭では、皇太子殿下、雅子妃殿下にご高覧いただく。平成20年の20周年記念公演では「仮名手本忠臣蔵七段目祇園一力茶屋の段」を上演。平成21年には、ブラジル移民101年を祝い初の海外公演を実施したほか、オペラ徳島の10周年にコラボ出演。友成会は、平成23年に「21世紀をあゆむ女流義太夫」に出演。竹本友幸(藤本宗子)座長は、川内・藍住子ども人形浄瑠璃クラブの結成や、小中学校への出前授業など後継者育成にも熱心に取り組んでいる。また、平成25年、この取組みが評価され、日本ユネスコ連盟から地域の文化や自然を守る市民活動を対象にした「プロジェクト未来遺産」に県内の団体としては初めて登録された。今年、徳島県代表として、渋谷のNHKホールで行われた「第14回地域伝統芸能まつり」に同クラブと出演。現在、子ども達だけではなく、老人クラブや海外の留学生への指導も行い、国や地域・年齢・性別を超えた心と心の交流を目指して活動している。
  • 阿波人形浄瑠璃 平成座
  • 阿波十郎兵衛座

    昭和54年に阿波十郎兵衛屋敷内に人形浄瑠璃上演舞台が建てられたのを機に、宮島地区の女性ばかりで座を結成。同年4月の初舞台以来、屋敷専属の人形座として、年間平均350回の公演を行ってきた。昭和60年の大鳴門橋開通から昭和63年の瀬戸大橋開通の頃がピークで年間626回を数えた。平成18年からは阿波人形浄瑠璃振興会の一座として上演している。「傾城阿波の鳴門順礼歌の段」「壺坂観音霊験記」に加えて、平成14年には「恵比寿舞」を新たなレパートリーとした。
  • 阿波十郎兵衛座
  • 大谷旭源之丞座

    歴史は古く、江戸時代末期天保年間に発足したといわれている。明治~昭和初期までは、大谷町にも定舞台があるほど大変盛んだったが、戦後中心となって活動していた座員の死後、10年余り活動を休止。平成11年、勝浦座指導のもと座員6名で復活させた。長い歴史の中で、盛衰を繰り返し、親子2代3代に亘って、座員として活躍し、座を支えている。大谷座に昔から伝わる「阿波の手」といわれる大きな動きを特徴とした遣い方を伝承している。また、昔から残る衣装道具類のほか、頭(かしら)は初代・天狗久、天狗弁、人形忠などの作品を含め、五十数個所有している。
  • 大谷旭源之丞座
  • 阿波人形浄瑠璃研究会 青年座

    徳島県立城北高校民芸部出身者が中心となり、昭和56年に結成。活発な活動を展開し、昭和60年、「国際青年年記念功労者・内閣総理大臣賞」を受賞。座員の減少などで8年ほど活動を休止していたが、藍住町商工会主催のイベント出演をきっかけに、平成11年から本格的に活動を再開。“人形浄瑠璃をより親しみのある身近で楽しいものと感じてもらうように、そして自分達も楽しむ”を座のコンセプトとし、「IWATO三番叟」(現代舞踊とオカリナ・琴)、「道行三番叟あわ娘にご用心」(阿波おどり)、「雪女」(朗読)など、人形浄瑠璃と他ジャンルを合わせた新作にも積極的に挑戦している。また、玉井啓行代表は2008年度の「とくしま芸術文化奨励賞」を受賞。
  • 阿波人形浄瑠璃研究会 青年座
  • 駒三座

    東内つとむ座長が市民講座で開いていた木偶制作教室内から「木偶を彫るだけでなく、舞台で遣ってみたい」との声が出始め、平成12年に結成。木偶制作者を母体としていたため、徳島に残る最も古いとされる木偶を作った江戸中期の人形師“馬之背駒蔵(駒三)”にあやかり「駒三座」とした。ホテルやホールなど県内公演だけでなく、平成26年2月には淡路人形浄瑠璃魅力発信事業・京都公演「人形に出会う」に出演するほか、福祉施設へのボランティア公演にも力を注いでいる。「昔から残る素朴でありながら迫力がある阿波の芸を、感動していただけるように情熱を持って一生懸命芸を磨いていきたい」と、太夫として50年のキャリアを持つ東内座長のもと、座員一同練習に励んでいる。 令和元年に解散。
  • 駒三座
  • 人形浄瑠璃とくしま座

    第22回国民文化祭・とくしま2007で瀬戸内寂聴原作の新作人形浄瑠璃「モラエス恋遍路」を上演するため公募で結成したモラエス座を母体に、平成20年4月に発足。昨年度より阿波十郎兵衛屋敷において月1回の夜公演を実施。平成26年度には、見どころの解説と公演鑑賞をセットにした「大人の人形浄瑠璃鑑賞講座」を開催している。人形浄瑠璃の新たな可能性を求め、勘緑師匠のもと座員一同研鑚を積み、平成26年10月には、ユーモラスでおめでたい「新作えびす舞」を初演するなど、各地で公演活動を行っている。
  • 人形浄瑠璃とくしま座
  • 阿波木偶箱まわし保存会(あわでこ はこまわし ほぞんかい)

    阿波木偶「箱廻し」や「三番叟まわし」をはじめ、徳島県独自の祝福芸や門付け芸等の無形民俗文化財調査研究を目的として1995年に発足。東みよし町の「三番叟まわし」芸人に弟子入りし正月の門付(かどづ)けに3年間同行して技術を習得。2002年から門付け先を受け継ぎ徳島県内で門付けを行う(2014年現在5市5町、928軒)。また、「箱廻し」「えびすまわし」「大黒まわし」等を伝承する全国唯一の芸能集団。国内外で伝統人形芝居公演活動を行う。「徳島新聞賞文化賞」「ユネスコACCU賞」「阿波文化創造賞」等を受賞。
  • 阿波木偶箱まわし保存会
  • 拝宮谷農村舞台保存会

    農村舞台や人形浄瑠璃をはじめとする拝宮谷の文化資源を活用し、地域の活性化に貢献することを目的に、平成16年2月に発足。同年6月6日には、半世紀ぶりとなる拝宮農村舞台の復活公演を実現させ、その後の那賀町の農村舞台復活の先鞭をつけた。
    拝宮には、江戸時代後期から昭和20年代の初めまで続いた拝宮人形座があり、天狗久や人形忠など42個の人形頭や多数の衣装を所有し、部落内外で公演を行っていた。昭和39年に道具一式を売却し部落林を購入したが、唯一残した恵比寿の人形頭は天狗久の名品。舞台の復活を契機に、拝宮谷農村舞台保存会の有志が、木沢芸能振興会と青年座の指導を受け「えびす舞」を復活させた。毎年5月に開催している拝宮農村舞台公演において、県下で最も大きな鯛を釣り上げ、鎮守の神に奉納している。また、襖絵の修復や襖カラクリの復元にも取り組んでいる。
  • 拝宮谷農村舞台保存会
  • 山口座三番叟保存会

    猿田彦神社を祀る阿南市山口町榊神社の氏子によって受け継がれてきた三番叟をより良い形で継承しようと、春の地神祭の奉納に加えて、学校や敬老会、イベント等へも出演するなど積極的に活動をしている。
  • 山口座三番叟保存会
  • 今山農村舞台保存会・今山座

    「里山の復活」をスローガンに、全国的に稀有な造りである。「今山農村舞台」の保存活動や、同舞台を用いた人形浄瑠璃公演を行っている。保存会の有志で今山座を結成し「えびす舞」にも取り組んでいる。
  • 今山農村舞台保存会・今山座